韓流アイドルとSNS

社会学、女性学、心理学などの分野では、韓流カルチャーの研究が行われてます。

私たちファンが思い思いに書くブログやツイッターなども貴重な資料とされています。←私も他者のブログやツイを参考資料にして、そこからファンの性質を読み解きますし、私自身のブログもどこかの見知らぬ研究者の資料になっているかもしれません(笑)

確かにブログ人格というものは存在しますが、ブログやツイでの発言には、やはり人間の実存が反映されているのではないでしょうか?
文章の内容だけではなく、文章構成や感情語句の使い方、印象形成のあり方などによって、様々な情報をブログなどから読み取れます。

韓流アイドルのブログを書いているファンからすれば、「あなたの資料になるために書いてるんじゃない」と思われそうですが、ネットという公共空間で発表されたものは、他者からどんな形にも利用され得るのです(^_^;)

紙の上に書いて、どこかにひっそりとしまっておく日記や記録ノートとは違っていて、ネットはあくまでも公共空間ですから、誰の目にも触れる可能性がありますよね。
つまり、自分の感情や意見をわざわざ見せていることになります。
そういうことをする背景には、溢れんばかりの喜びやワクワク感を他の誰かと共有したり、自分に共感してくれる誰かを探している場合もあるでしょう。
または、心の底に溜まった「淀」を吐き出す装置として利用している場合もあるでしょう。

どちらにしろ、他者の視線を意識して書くのがSNSではありませんか?
例えば、旅行先の写真をひとつアップするにしろ、「他者が見てキレイだなあ」と思えるものを選択しますよね?
「こういうふうに書いたら、私はこういうふうに見られるかなあ」と感じながら書きませんか?
(ときには感情が高ぶって、後先考えずに激情を綴る人もいるかもしれませんが…)
常識的には、ブログを書くとき、「より良く見られたい」と思って書いている人が多いのではないでしょうか?

「より良く見られたい」という感情は、誰にでもあります。
私にもあります。
「夫や子供に囲まれて幸せに暮らす奥さま」とか「仕事やプライベートで充実している私」とか「ユーモアとセンスにあふれ、個性的な私」とか、ウソはつかなくても「そのように見られたい自分」を多少なりとも意識して書きませんか?
「より良く見られたい」という自己愛的な願望は、SNSなどで発言する場合には切り離せないと思います。
SNSとは、「自分をより良く見せるためのナルシスティックなメディア」だとも言えますよね?

このようにSNSには自己愛的な願望が潜んでいる一方で、「こんなことを書いたら、周囲の人にどう思われるかな?」と想像することなく、反射的に激情(激しい怒りや侮蔑的な感情)を書き綴る人もいます。
子供のように感情を爆発させて、コントロールできなくなっている様子(^_^;)

うーん、SNSはユーザーを自己愛的にもするし、幼児化をも引き起こすツールなんでしょうか?

韓流アイドルのファンブログやツイを観察していると、幼児化として次のような特性があげられると思います。

①「敵か味方か」「全か無か」「良いか悪いか」といった二分法的思考

②投影同一化
→ファンがアイドルの気持ちを忖度して、アイドルとの関係の中で自分の気持ちや衝動を処理する傾向があります。
例)所属事務所のマネジメントにファンが不満や不安感を抱いているとき、アイドルも同じように感じていると決めつけ、「この怒りは相手のせいだ」と所属事務所を責めて(ときにはアイドルをも責めて)、相手とのゴタゴタの中で自分の感情を発散し、それをコントロールしようとします。
相手に処理してもらったり、コントロールしてもらうことを無意識のうちに期待していて、自分の中の欲望や感情を相手に押し付けるメカニズムを「投影同一化」と言います。
怒りの感情があまりにも大きくて、自分の中では処理できず、相手を巻き込んで、相手とのトラブルの中で処理しようとする対人関係のパターンです。
「自分の感情や衝動の自己調整能力が著しく脆弱」だからこそ起きる現象です。←だから幼児化なんですが…
(自分ひとりで処理できる人は、気分転換に運動やカラオケなどのレジャーで気持ちを整えたり、冷静に相手と話し合うなどできますが、自分ひとりで処理できない人は他者を巻き込み、他罰的に相手を激しくなじるなどの攻撃的態度を見せます^_^;)

③アイドルへの「理想化」と「無価値化・こき下ろし」
→ファンブログを読んでいると、ある日のブログではアイドルを賞賛し、別の日のブログではアイドルを誹謗中傷していて、感情や対人関係のあり方が極端に見えます。
注)こちらに詳しく書いてます。
韓流アイドルのファンの生態らしきもの2 - 仮想三昧

私はファンブログやツイなどを巡って考察しているため、ファンコミュニティからすれば「ハエのように煩わしい存在」かもしれませんね(^_^;)
でも、このような考察の中に私自身も含まれてます。
韓流アイドルとファンとの関係性を探る趣味は、自分の心理をえぐる作業でもあります。

私は自分のことをSだと思うのですが、意外とMだったりして〜(笑)


[参考文献]
小此木啓吾、深津千賀子、大野裕 編 『改訂 精神医学ハンドブック』創元社、2004年
香山リカ 『劣化する日本人(自分のことしか考えられない人たち)』ベスト新書、2014年